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2020年 5月 24日 東大文系数学の攻略(渡部)

こんにちは!東京大学文科三類一年の担任助手の渡部翔太です。

今回は東京大学の文系数学についてのお話です。

数学は文系の東京大学受験者の勝負の別れ目となる科目です。

文系となれば、英語、国語、社会において一定以上の点数を取ることは必要不可欠ですが、

数学で点数を取ることが出来れば、より合格に近づくことが出来ます!

①概要 ②文系受験生としての数学と目標点数 ③勉強方法 の三本立てでお送りします。

それでは早速はじめていきます。

①東大文系数学の概要

最初は概要から。

文系数学は、東大本番1日目の2コマ目。国語、そしてご飯を食べた後に控える、100分間の入学試験科目です。昼休みの過ごし方としては、教室や外でご飯を食べたり、高校や塾の友達がいれば、談笑したり、とか。もちろん公式をチェックしている人もいますし、数学に備えて寝ている人もいました。人それぞれですね。僕は高校の同級生と同じ教室だったので、一緒に外を散歩したり、ご飯食べたりしていました。さて、話を本線に戻しましょう。文系数学は、大問4題で満点は80点です。各大問の点数の内訳は不明ですが、模試では一問20点で採点されます。東大の文系数学は誘導がしっかりつけられていて、手を動かして計算をしていくと、答えの道筋が見えてくるような良問題が多いです。例年、高レベルなものは少なく、一橋大学などよりは解きやすいレベルでしたが、今年度は、誘導が多少あるとはいえ、難しいものになりました。同日体験を受けた人は点数が伸び悩んでいても、そこまで気にしないでください。

また、整数、確率や漸化式・場合の数、ベクトル、微積、そして図形問題が頻出で、どれも基礎的な知識から、数学的な発想力まで試されるのが特徴です。ただ、理系と異なり、誘導がしっかりしているので、発想力はある程度あればいいと言えるかもしれません(ここに関しては主観になってしまうので、全員に当てはまることは言えません。ごめんなさい。一人一人の頭の中を覗いて見ないまでには感覚はわかりませんので・・・)。

過去問を解くとわかるのですが、指数対数の問題が少ない(皆無に等しい)のも特徴です。意図は不明ですが、この傾向があるからとは言え、対策しないでいいわけではありません。どんな問題が出てもいいように対策をしておくことが、本番落ち着いて解くためのコツです。ただ、公式を覚えれば、残りは整数問題(不等式の問題が多そうですが)に帰着できるものが多いはずですので、そこまで学習時間はかけなくてもいいとは思います。共通テストでは、もちろん出ますので、こちらを中心に学習するのでもいいでしょう。

4月の共通テスト本番レベル模試でもⅠA・ⅡB両方で出題されています。きちんと解けましたか?

 

②文系受験生としての数学と目標

いくら東大志望生とはいえオールラウンダーにできる人は多くなく、文系は数学が鬼門となる人が数多くいます。今年の東大新入生も、数学が全然できなかった、数学で全然点数が取れないので別の科目を頑張りました、という人が相当数います。今年度は、数学が極端に難しくなったこともあって、数学以外の科目で点を稼いだ人が多くいる印象です。数学ができる人でも70点越えはほぼいないのではないでしょうか。

さて、今年度が特異とは言え、今年度を含めたどんな年度であっても、出来る人と出来ない人で40点近く差がついてしまうのは変わりません(例年の合格者の傾向としては、数学が出来る人で70~80点、あんまり出来ない人で40点前後。今年度は出来る人で60点、出来ない人で20点)。「東大文系数学が40点取れるか取れないかで合否が左右する」と巷で耳にしますが、僕の肌感覚ではドンピシャに言い表していると思いますね。

ところで、恣意的なサンプル抽出によるものとなってしまいますが、東大文系受験生には数学において3種類の人間がいると、僕は考えます。一つめは、ぶっちぎりで数学ができる人間。どんな時も満点近くとる人間です。他の科目も大抵できるので合格最低点ギリギリになることは少ないですね。理想です。目指してもいいですが、思いつめすぎないこと。二つめは、数学でそこそこの点(過去問で50点、模試で35点程度。あくまで目安ですが)を取る人間。多分、合格者のマジョリティです。マジョリティなのですが!実はここの人たちが案外危なかったりします。落ちている人で得点を開示している人間も、実は数学で40点くらいはとっているのです。別の科目が苦手で、もしくは不運にもこけて、落ちてしまう。ぎくっ、と思った人は、今すぐ苦手科目を克服してください。不運が起きないように得意科目に変えてしまうのがいいです(もちろん数学がぶっちぎりにできる人間になるのも一つの手ですが)。三つめ、数学がぶっちぎりにできない人間。他の科目で取れれば受かるし、取れなければ落ちます。ですが、受かっていてもマイノリティではあります。この章の冒頭でも述べましたが、今年度に限って言えば、数学の難易度が上がったこともあって、数学を捨てた勉強をした人も一定数受かっています。ですがここを目指すのは危険です。少なくとも僕はお勧めしません。数学漬けになれとは言いませんが、コツコツ基礎を積み上げればワンランク上の得点を目指せます。そちらを狙っていってください。

さて、上の脱線を利用しつつ、話を戻します。ここでみんなに目指してもらいたいのは

「数学で安定して45点が取れるようになろう!!!」

です。「簡単じゃないか」と思った人が要注意です。実は、安定して45点を取るというのは至難の業です。過去問で取れていても、模試では、また他大の問題を組み合わせて解く演習(後述)では、きっと取れないでしょう。僕でもキツかったです。満点を取る才能よりも、入学試験で必要となる能力は「いかに点を積み上げていくか、部分点を確保していくか」の能力です。数学に限った話ではありません。この能力を伸ばした先にあるのが「安定性」なのです。ぜひ受験生には、この「安定性」を武器に、心の余裕を持って本番に臨んでもらいたいですね。

 

 

③勉強方法

もしかしたら、ここまで飛ばした人もいるのではないでしょうか笑。手っ取り早く点数を伸ばしたいのが受験生の性です。大学生になっても、手っ取り早く教養を身につけたい、と思うものですが、最近は諦めの境地に入ってきていますね。時間をかけてゆっくり学ぶのが学問です( ´∀` )

では、本題に入りましょう。ここからはいつも通り、東大頻出の場合分けです、と言いたいところですが、今回はこの場合分けを心理テスト風にしてみます。当てはまるアルファベットの項に進んでください。なお、この場合分けは主に高3生を想定しています。高2以下は一番上を選択することをお勧めします。

[おすすめ勉強法チェックテスト]

数学で基礎が固まっていない人・とても苦手な人・数学を捨てた人 YES→A(、B)

NO or 上のレベルを卒業できた人

数学の基礎がある程度な人・共通テストを時間無制限で90点ずつ取れる人 YES→B、C

NO or 上のレベルを卒業できた人

数学の基礎はOK!でも発想力・得点力とか言われるとちょっと・・・な人 YES→B、D

???

数学の基礎も発想も完璧な人→この人に対してはもうアドバイスはできません。むしろ教えてください。

以下が矢印の先のアルファベットです。対応するアルファベットを選択みてください。

A. 教科書を読み、公式の理解や基本問題の演習…学校の指定の教科書や問題集があればそれを使用。なければ、チャート式などの市販の問題集でも良いです。何かしらの基礎問題が解けるものであればなんでも良いです。これを五日一単元ぐらいのペースで、集中特訓。二ヶ月で基礎を完成させるのが目標です。それなりの覚悟が必要になってきます。僕は高二の3学期に赤チャート(難易度が高いのでお勧めしません)を二冊やりましたが、数学と英語以外に手をつけている余裕は一切ありませんでした。簡単・解けると思った問題はすぐに解答を見て解法を確かめ、次に進んでください。基礎ができていない漠然とした不安で余裕がないのはもちろん分かります。ここが正念場です。これを乗り越えた先はきっと受験に対して前向きになれるのではないでしょうか。数学を捨てるのは、僕は許しません。全力で応援します。一緒に頑張りましょう!

B. 計算テスト…高マスやセンター試験、早慶の数学の簡単な問題レベルまでは計算テストとして機能します。一日に小問を5問ほどこなして、速度をつける練習をするといいです。

C. 東大の過去問!2015年、2020年は少々難しいので少し後回しに。東大数学は良問揃いなので、しっかり100分測って解きましょう(初めは耐性をつけるために2分割して50分で2問解くのも良いです)。演習の際はB5の紙を使いましょう。鉛筆で縦に割り上から下へ、左から右へ、理路整然と書くような訓練をしてください。また、解答用紙とは別に計算用紙を使い、そこで答案の構想や、進め方の目処を立ててください。いきなり答案に解答を書きつけるのはご法度です。解き終わったらしっかり復習するのも大事です。

D. 他大の過去問を4問セットにして解く練習。東京工業大学、東北大学、九州大学、京都大学、同志社大学、慶應大学(経済、理工)、早稲田大学(政治経済)、一橋大学、以上、一部に理系も含まれますが、文系でも解ける問題を選びます。一橋大学は特に難易度がちょうど良いです。大問別演習を活用して、100分で演習をしてください。Cの東大過去問を始めるより前にこのような演習をするのも良いです。東大の過去問が簡単に感じられるようになるからですね。直前期の精神安定剤として良いです。

以上で、勉強方法まで終わりました。ここまで読み進めてくれた人、ありがとう!!個人個人にまた違った勉強法があると思います。上は僕が受験生時代に行っていた勉強をもとにまとめたものです。参考にしつつ、勉強を進めてください。数学を得意科目にできるよう応援します!一緒に頑張っていきましょう!!