ブログ
2017年 6月 10日 「妄想」を「想像」に(西村)
こんにちは!
社員の西村です!最近古文について悩んでいる生徒を多く目にします。
話を聞いていると、悩んでるパターンは3パターン。
①そもそも品詞分解が全くできない
②品詞分解はできるが、古文単語を知らないので訳せない
そして、厄介なのが、
③品詞分解も完璧、古文単語もほぼ知っている。
よって1文1文は訳せるのに、訳した文章と文章が繋がらないので全体の内容が全く入ってこない。
…正直、①②は東進での受講や学校での勉強、参考書で、自分で努力してやればいいのが想像できるかと思うのですが、
③の子は、せっかく一生懸命授業を受講し、復習もし、学んだ内容は身についているはずなのに…とすごくもやもやした気持ちになりますよね。
大丈夫です。ちゃんと努力した結果は実を結びます。努力は決してみんなを裏切りませんよ!
じゃあどうすればいいのか…。
③で悩んでいる子に共通しているのは、1文1文を訳した時、その場景を、しっかりと正しく想像しながら文章を読む力が足りないということ。
しっかりと
正しく
です。
そして、
「妄想」ではなく、
「想像」です。
↑ここ、とても大切です。「妄想」してしまったり、しっかりさや正しさがなくなると、センター試験で出題者のひっかけにまんまとはまることになるので。
では、そのしっかりさ、正しさで「想像」するには何が必要でしょうか。
それが、「古文常識」です。
これがない生徒は、しばしば文章と文章を、現代と同じ感覚で、現代と同じ価値観で、「妄想」で補って繋ごうとしてしまいます。
たとえば、平安時代の文学作品が問題になっているとき、自分で訳した現代語訳が以下のような文章だったとしましょう。
ある日の夜、東太郎くんは、進子さんのお家を訪れました。次の日の朝帰ったあと、東太郎くんから音沙汰が一切なかったので、
進子さんは東太郎君のことを「失礼な人だわ」と思いました。進子さんはいらいらがとまりません。
そんなことも知らず、東太郎くんは、次の日も、また次の日も…3日続けて毎晩進子さんのもとを訪れたのでした。
そして、3日目の夜、進子さんのもとにつかえている侍女が、「こちらをぜひお召し上がりください」と、餅を振舞ってくれました。
2人は、黙って静かにその餅を食べ、夜を明かしたのでした。
<完>
問、この文章の内容で正しいものを選べ。
(1)東太郎くんからの音沙汰がないことで、進子さんは東太郎くんのことを嫌いになった。
(2)東太郎くんが3日進子さんのもとに通った為、2人は結婚し、結ばれた。
(3)進子さんは、東太郎くんにお手製の餅を振舞い、一生懸命もてなした。
さて、古文常識がない人でも、(3)が明らかに本文中にないことは明確にわかります。(ここは、品詞分解、古文単語がちゃんと身についているので、余裕ですね)。
ですが、(1)と(2)が残った時、古文常識がない人の思考プロセスは、以下のようになりがちです。
(1):進子さんは東太郎君のことを「失礼な人だわ」と思いました。進子さんはいらいらがとまりません。(本文)
とあったから…、これは進子さんは東太郎がきらいということに違いない!(1)が正解だ!!!(2)にあるような「結婚」なんて、どこにも本文にないし!
…ぶっぶー✕です。
では、古文常識がある人はというと…
(1):たしかに本文中の「失礼な人」「いらいら」という表現からは、もしかしたら進子は東太郎が嫌いなのかもしれない…が、
直接的にはそう書いていないし、断定するのはまだはやいな…
(2):平安時代の作品で、3日連続男性が女性のもとを通っている…そして、3日目に餅を食べている…。これは、「3日目の餅」という昔の人の正式な結婚の成立の儀式だ!…ということは、②が正解だ!
ってな感じになります。
このように、古文常識がなければ、それっぽい言葉や言い回しから、それっぽい「妄想」で文章をつなぎ合わせ、間違った選択肢を正解だと断定してしまいがちです。
古文常識は、そのような「妄想」を正しい「想像」にするために役立ちます。
とても長くなってしまいましたが、古文の読解において、「古文常識」がいかに大切か、わかりましたか?
ということで、
古典のプロフェッショナルである、吉野先生が、12日(月)に、公開授業をしてくださいます。
しかも、今回のテーマは、「古文常識」。
少しでもこれがあるだけで、古文の読解が、飛躍的に楽になります!
そして、昔の人の価値観を知ることは、単純にとっても楽しいですよ。
吉野先生のような有名な先生に、直接教えてもらえる機会も、めったにありません。
都合が合う方は、是非お友達も誘ってご参加ください。
私もとっても楽しみです…!
明日のブログ担当は、担任助手の吉瀬くんです。お楽しみに!