法学徒だより(井出) | 東進ハイスクール新宿エルタワー校|東京都

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2017年 1月 22日 法学徒だより(井出)

こんにちは、東進の井出です。いつも言っていますが本当に寒すぎる、あまりにも寒すぎる。冬眠に入ってしまうんじゃないか。

 

ご存知の通り僕は法学部です。しかし思えば今まで僕がブログで法律のことを書いたことはなかったですね。だから今日こそは法律について書きます。僕のブログを読み終わる頃にはきっともう皆さんの目には六法全書しか映らなくなっているでしょう。

 

さぁレッツゴー・トゥ・ザ・ローワールド。

 

さて、「覚えることが膨大」、「条文を丸暗記しなければならない」、「暗記パンがなきゃ勉強できない」等々、どちらかと言えばマイナスのイメージを持たれがちな法学部ですが実際は違います。

もちろん最低限の覚える作業は必要です。けどそれはどんな勉強だってそうですよね。法律はそれがちょっと多いってだけの話です。

 

あともう一つ、少し話が逸れますが、法律に関わる誤解を解いておきます。皆さんは堺雅人主演の名ドラマ、リーガルハイをご存知でしょうか?敏腕弁護士古美門研介があの手この手でバッタバッタと敵の弁護士や検察を倒し、無敗伝説を築き上げるドラマですが、あれもかなり現実とは違います。実際の裁判は資料が提出された時点でほぼ勝敗は決します。弁護士が法廷で大演説をするなどありえません。もっともそれを差し引いてもあのドラマは近年まれにみるギャグセンスの高さと役者の完成度、脚本の面白さ、そしてなによりも堺雅人の熱弁によって最高のドラマであったことは間違いがありません。

 

話を戻しますね。

 

じゃあ実際に法学部の僕がどんな勉強をやっているのか、軽く紹介してみます。

 

民法第94条2項、通謀虚偽表示を例に取りますね。おっとここでビビらないでください笑

難しいことはなにもやりませんから。

 

条文

1項:相手方と通じてした虚偽の意思表示*¹は、無効*²とする。

2項:前項の規定による意思表示の無効は、善意の第三者*³に対抗することができない。

 

以上が94条の条文です。僕が例に取るのはこの第二項の、善意の第三者に対抗できない、というところです。

 

まずは用語の解説からします。これは暗記しなきゃならないものです。言わば数学における公式ですね。

*¹意思表示・・・一定の法律効果の発生を欲する意思を外部に表示する行為。

*²無効・・・当事者が法律行為によって意図した法律効果が当初から発生しないようにする行為。法律用語には「取り消し」というものもあります。興味がある方はそちらも調べてみて下さいね。

*³善意の第三者・・・虚偽表示の当事者及びその包括継承人以外の者であって、虚偽表示の外形について新たな独立の法律上の利害関係を有するに至った者。

この第三者の厳密な定義は、法律には記載されていません。しかし過去の判例よりこのように認識されています。法律においては過去に出された裁判の結果、すなわち判例が非常に強力な効果を持ちます。こんな側面もあるということだけ頭に入れておいてください。

 

次にこの条文を簡単にかみ砕いてみると、

「相手と通じて本当には思っていない意思表示を行った場合、その意思表示はなかったものになる。ただし、これによって作り出された事象を善意でもって信頼して、何らかの法律行為を行った第三者は保護される」ということです。

 

まぁこう言われてもイメージが湧かないと思うので実際に具体例で考えてみましょうか。

 

僕が、僕所有の土地を債権者からの差し押さえを逃れるために福澤君と企んで、福澤君の所有に移したとします。そしてなんと福澤君、僕から受け取った土地を、その土地にそんな事情があるなんて知らない松尾君に売却してしまったとします。

 

ここで僕は福澤君と通謀して虚偽の意思表示をしました。僕が虚偽表示者の当事者で、福澤君が包括継承人です。彼らは相通じてそれが自分たちの真意じゃないと分かりながら意思表示をしたわけですから、その意思表示は無効ですね。しかし、何も知らなかった松尾君がいます。松尾君は僕と福澤君の通謀によって作り出された事象を善意でもって信用しているわけです。ここで松尾君が善意の第三者に当たります。94条第二項に照らせば、松尾君は保護されることになりますね。

従って松尾君が土地を手に入れたことは覆りません、土地はいくら僕が頑張ろうとも松尾君のものです。

 

ここまでの話は都合のために色々省略しています。実際に僕がやっている勉強はもっと深いですし、その他にも色んな要素が関わってきます。もっと知りたい方は僕まで聞いてください。そこら辺の「法律は暗記だよ。」なんて講釈を垂れる人よりは百倍面白い話ができると思います。

 

まぁなんでいきなり僕が法律の話を始めたかというと実は今、僕の大学は試験期間中なんですね。当然僕も毎日六法全書と睨めっこしている、はずです。

 

これをきっかけに皆さんが少しでも法律に興味を持ってくれたら嬉しいです。

 

人工知能の発展によって過去のデータを読み込む法律関係の仕事の必要は無くなりつつある、従って法律の勉強なんかをしても損なんじゃないかと言われる昨今ですが、そんなことはありません。法律の勉強の骨子は目の前の状況に流されず、正しいものをしっかり判断するリーガルマインドの醸成にあります。アメリカ、イギリスに見るように世界ではポピュラリズムが台頭しつつあります。そしてさらに僕たちの常識を超えた技術革新時代が訪れ、それらに付随して価値観は大きな揺れを見せるでしょう。けれどそのような激動の時代でこそ、法律の勉強が真に意味を持つと言えるのではないでしょうか。

 

明日のブログは~担任助手です、お楽しみに!